炎症って何?
2012.08.05
どこかケガをしたり、ぶつけたり、捻挫したりすると、
すぐ「腫れてる?」とか、「あ~炎症してるね」と言われますね。
「炎症してるときは、触るとよくないね」とも言われますが、炎症っていったいなんでしょうか?
炎症ってそんなに悪いものなんでしょうか?
今回は、それを分かりやすく検証してみたいと思います。
仮に「擦り傷」を例に考えてみましょう。
この場合のケガは、皮膚をいため、毛細血管も裂傷して血がにじんできます。
最初の内は、鮮血が傷口からどっと出てきます。
当然、毛細血管の裂傷がありますから、切れているところから血が出てくるわけですが、
からだの中では、もうすでに再生の作業が始まっているのです。
ある程度、表面の血が流れると、どろどろした状態になり、徐々に「かさぶた」になってきます。
傷の部分が、ズキンズキンとうずくようになってきます。
これは、からだが傷口をふさぐように血液内の成分が働いて表面に膜を作っているのです。
さらに、血液中の成分が傷口に付着している細菌を中に入ってこないように防御しているのです。
これを「免疫反応」といいます。
その後たくさんの血液や、細胞がかなりの量でそこに集まり、傷口の修復を始めます。
かさぶたのまわりの細胞が増えていき、ぶ厚くなります。
そこから1週間くらいたつと、かさぶたの部分がとれてきれいな皮膚が再生しています。
この一連の流れの中で、
「止血→防御→修復」の際に熱を持って膨らんでいるものを「炎症」と呼んでいます。
炎症の徴候は5つといわれています。
①発赤 ②熱感 ③腫脹 ④疼痛 ⑤機能障害です。
この状況は、からだの防衛機能で免疫機能なのです。
以上の症状で、からだを守ってくれているのです。
ですから、炎症反応をそんなに悪者扱いしなくてもよいのです。
ただ、炎症が強くなりすぎると、痛み物質が増えることにもなり、諸症状が辛くなり耐えられなくなるのです。
そこで、出来るだけ速やかにこの状況をやり過ごすため、
炎症中には触らなかったり、冷やしたりする行為をするわけです。
これまで述べたように「炎症」とはからだのありがたい機能の一つですから、むやみに怖がったり、否定する必要はないのです。
ただし、例外もあります。
炎症が3~7日であれば急性炎症であり、7~8日以上の炎症は慢性炎症といいます。
慢性炎症は、先ほどのつらい状況が長期間続くわけですから、今度は自身の体力も消耗してきます。
同時に炎症が続いているのは、からだの防衛機能が外敵に対して100%優位になってはいないことを表わしています。
また、そのからだの免疫機能が自身のからだを外的とみなして攻撃してくる病気もあります。
その一例がリウマチであったり、膠原病といわれる病気です。
原因はいまだに分っていないのが実情です。
以上のように、炎症とはなかなか難しい一面も持っていますが、
基本的には、「私たちの大切なからだを守ってくれる大切な機能のひとつである」と認識していただければ幸いです。